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昔はめったに無かったように聞いている

 

温泉場に近年流行するのは心中沙汰である。とりわけて、東京近傍の温泉場は交通便利の関係から、ここに二人の死に場所を選ぶのが多くなった。旅館の迷惑はいうに及ばず、警察もその取締りに苦心しているようであるが、容易にそれを予防し得ない。 心中もその宿を出て、近所の海岸から入水するか、山や森へ入り込んで劇薬自殺を企てるたぐいは、旅館に迷惑をあたえる程度も比較的に軽いが、自分たちの座敷を舞台に使用されると、旅館は少なからぬ迷惑を蒙ることになる。 地名も旅館の名もしばらく秘して置くが、わたしが曾てある温泉旅館に投宿した時、すこし書き物をするのであるから、なるべく静かな座敷を貸してくれというと、二階の奥まった座敷へ案内され、となりへは当分お客を入れない筈であるから、ここは確かに閑静であるという。成程それは好都合であると喜んでいると、三、四日の後、町の挽地物屋へ買物に立ち寄った時、偶然にあることを聞き出した。ひと月ほど以前、わたしの旅館には若い男女の劇薬心中があって、それは二階の何番の座敷であると云うことがわかった。 その何番は私の隣室で、当分お客を入れないといったのも無理はない。そこは幽霊(?)に貸切りになっているらしい。

日暮里の炭酸ヘットスパがある美容院

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