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林立する鉄の柱

 

いやかつて鉄だったものの残骸が、火に焼かれ、高熱に溶かされながら発する音が、まるで沸騰するロックンロールのせっぱ詰まった響きのように僕の身体を包み込む。どうしてなのか、熱さは感じなかった。でもグニャグニャに溶けかかった路面のアスファルトに足を取られた。その進みにくさと戦いながら、上から降りそそいでくる焼けた鉄のカケラをよけた。足もとがグラグラ揺れる。橋の命が終わりかけているのを僕は全身で感じていた。得体の知れないガスが胸に突き刺ささり、それが胸の内側を痛めつけた。前がよく見えない。僕は、溶鉱炉の鉄の通路、鉄鋼石が鋼鉄に生まれ変わるその産道を逆向きに、手探りで進んでいた。耳がガンガン鳴り、頭が張り裂けそうだ。昨日の夜のコンサートの終わりとそっくりだけれど、今の僕は走らなければならないのだ。すぐ後ろで、大きな、固くて重い物が崩れ落ちる時の絶望的な音が響く。〈緑橋〉が崩れ始めたのだ。その音が僕を追いかけてくる。僕は戦った。戦って、もう小さな僕の重みだけで落ちてしまいそうな〈緑橋〉の最後を励ますように、一歩一歩進む。刺すような痛みを、身体のあちこちに感じた。飛んでくる小さな鉄のかたまりが僕に向かって思いきりぶつかってくるのに違いない。前を見えなくしている煙りを両手でふり払った。足を取られ、よろめいた。思わず踏み出した右足が踏んだ地点が、〈緑橋〉のこちら側の支点を一歩だけ越えた場所だったらしい。目の前がぱっと明るく開け、夏の終わりの空の青さが、吐く息を誘った。

 僕は燃える〈緑橋〉を渡り切ったのだ。

デリヘル 大分 おてんば娘の体験談

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